TOKYOポエケット

ポエケットニュース

第8回東京ポエケット

第8回ポエケットは2004年7月18日に開催。翌日も休みのせいか、ポエケット史上最多のブース数、来場者数となりました。本当にうれしく、心より皆さまにお礼申し上げます。また「まっすぐ歩けない」ような混雑にご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。ポエケット終了後は、「今度はもっと大きな会場でやりましょう」「コミケみたいになりましょう」とおっしゃってくれる方々も多く、主催者としてはうれしい限りでした。

ですが、ポエケットは一極集中的に拡大していくのが目的というわけでもなく、強いて書けば「集中拡大」より「拡散拡大」でしょうか。ポエケットで出会った詩人たちや他ジャンルの作家たちが新たなイベントやマーケットを企画したり、それらが互いに往き来しあって結果的にはアート(表現)全体が活性化するような、そんなゆるやかで元気な状況をひそかに夢見ています(川江)。

○とにかく最大規模

1999年の最初のポエケットは、広い会場なのにほとんどが顔見知り、というくらいの家族的規模でした。その後の会でも、朗読時などに司会席から目でカウントできる範囲。
着席者が150人くらいプラス回遊していた人たちが200人くらい、と。
が、しかし、しかしだ、第8回はもうカウントお手上げ状態です。わかりません。出展者含めて5、600人を超えていたと言っておきましょう。北は北海道、南は九州からの参加者。ネットではやりとりしていても初めて顔をあわすオフ会みたいなグループもあれば、初回からの常連グループもあり、かなり混沌としたエネルギーに満ち満ちていましたね。

始めの3年間くらいは、内輪のノリであるとか、仲間うち知り合い同士の交換会でしかない、などのご批判もいただきました。が、主宰者としては、そのうち人数が増えてくれば自然とウチワ的なものは薄れてくると思っていました。年2回開催から年1回の開催にした頃から、だんだんとネット上で活動する詩人たちも多くなってきて、ネットでの呼びかけに強い手ごたえを感じるようになりました。そして当初の意図どおり、詩壇、朗読会、ネット、同人、とそれぞれの活動範囲を超えた交流の場になってきたのです。

○平田俊子さん

私も川江さんも「ラメール」の同人だったので、平田俊子さんの詩はよく読んでいたしその強さも悪意・敵意も大好きで、ずっと気になる人でした。共通の友人を介してお話するようになり、「エッジ」のドキュメンタリーで描かれている平田さんがとてもキュートで魅力的なので、そうだ、ポエケットで朗読してもらおう、と思った次第。そうしたら、日本の詩を英語に翻訳して紹介している中保佐和子さんともタイミングよく知り
合い、平田さんの英訳朗読も披露してもらうことにしました。

ちょうど詩集「詩七日」も出版したばかりということで、出来立て詩集の宣伝にも役立ったようです。現代詩手帖に連載していたときから、平田さんまたヘンな詩書いたなあ(感嘆!の意味で)と思っていた私は、会場のみんなに平田さんのユニークな詩を紹介できてよかったなあ、としみじみ思っていました。
中保さんの英訳との対比で面白かったのは「田園」という初期の詩です。「お猿畑に猿がなる」で始まるシュールな風景が、英語の翻訳では「monkey」「monkey」の繰り返しが耳に残って強烈な印象が残ります。会場の熱気が読み手の呼吸をあおっていく感じもあって、中保さんも平田さんも、いつもよりもハイテンションな朗読でした。

その後、なんと「詩七日」は萩原朔太郎賞を受賞!ということに!!!私たちが詩集として生まれたばかりの顔を見た赤ん坊が、すぐに天高く飛び立っていくのを目撃したようなものです。なんだか未来は明るい、とムヤミに信じたくなるようなうれしさでした。

○松岡宮さん・伊武トーマさん・死紺亭柳竹さん・稀月真皓さん

松岡宮さんといえば、見た目からは想像が及ばないほどの超ド級個性派。長い詩をテキストなしに、一人たんたんと発声し続けました。タイプも内容も違うのだけど、岸田今日子の一人芝居みたいな印象です。健康な狂気とでもいうべき何か。演者の内面世界にだんだん引き込まれていく、という意味で、強い引力でした。

伊武トーマさんは、舞台で朗読をするのはまだ数回目ということですが、こちらは意図した狂気。日本のロック、津軽三味線の音が聞こえてくるような激しさ。これと同時進行で、私ヤリタミサコがセッションとして、打楽器的な言葉を音にしていきました。
伊武トーマさんの詩集「a=a」からの引用です。地を這う言葉が、激しく聞き手の耳をおびえさせたと思います。臆病者は逃げ出したでしょう。ナマハゲみたいだったと言ったらいいかなあ。

そして、死紺亭柳竹と稀月真皓さんの、トーキョーの今のリーディング。イキオイある昇り調子の人からは、目に見えない炎みたいなのが出ている。食べ物でいうと旬の味なのだね。

○詩を売る・買うこと

今回は本当に数多くのグループが同人誌や詩集、CDの販売をしました。関西の上田假奈代さんや有邑空玖さん、東京の紀ノ川つかささん始めとして、インディーズだから販売しにくい・入手しにくい、そんな作品が欲しい人の手に取られていくのは、主催者としてはとてもうれしいことです。そういった詩の流通を目指して始めたポエケットだから。「コトバコ」「母衣」「ペチカ」などのフレッシュな顔ぶれ、「えこし会」のよう
に正統派文学している会など、多様なグループがたくさんの作品を流通させてくれました。

その中でも特に、木村ユウさん引きいるポエトリージャパンはすばらしい爆発力と求心力を発揮してくれました。パッキングに工夫もあり、本気で「詩を販売する」意欲と熱気にあふれていましたねえ。うーん、他人ごとのようだけど、思わず、感心&拍手!!!作品というものは、人に読まれるべきだし、自分ひとりで閉じていてはならない、ということは正論です。でも、今までにこれほど詩を流通させることに命賭けた人、ほかにいない。

一人、宮本武蔵のようなたたずまいで、詩の市場を開拓してく木村ユウさんに、ただ脱帽しました。そしてそのネットワーク力の強いこと強いこと!全国からやってくる仲間たちは個性豊かな詩人たちで、それが強力なプロデューサー木村さんのもとの結集するのだから、向かうところ敵なし。これからもパイオニアの厳しさと孤独をものともせず、木村さんは荒野を切り開いていくことでしょう。応援してます。

○ネットと現実

私も所属している女性ネット詩人の集団「蘭の会」は、詩学社から詩集を出版したばかりで詩壇デビューといったところか。でもその発起人たちもまだ顔をあわせたことがなかったという・・・??宮前のんさん、佐々宝砂さんら、ええ?って感じだが、実は初対面だったそうな。でもでも、長年の活動だもの、顔見ればすぐにぺらぺらとおしゃべりはつきない。宝砂さんのはっぴ姿、実に格好良かったよ。他にもたくさんのメン
バーが顔をそろえていましたね。蘭の会の実力派メンバーは、あちこちのグループでも活躍していました。
そして、沼谷香澄さんと片野晃司さんのブースには、お二人の作品はもとよりネット上の様々な詩人と詩作品たちが結集していました。ネット上でも、手堅い実力と人柄の温かさゆえに、こうしていろいろな可能性をはらんだ世界をプロデュースできるのだなあと思いました。ひとつのネット交差点でもありましたね。

○人口が多くなって今後は

ポエケットが大きくなるのは、もう限度でしょう。あきらめっていうのではなくて、私たちが会場を江戸東京博物館の会議室と決めていること、そして川江さんと私と数人で運営することの限界もあり、この規模が最大です。

いろいろな人たちからたくさんの要望を伝えられ、主催者としてはうれしい悲鳴という感じです。私たちの今後の希望としては、日本各地で小さな交流会が多発すればいいなあと思いますよ。京都のぽえざるみたいなやつね。それぞれのところのやり方でいいのです。朗読会でもいいし、同人誌の交流会でもいいし、いろいろなスタイルでたくさんの詩人たちが顔をあわせわいわいやることに意味があると思います。

大阪のcocoroomや、長野の声のカーニバル、岡山のHappy? Hippie! など、リーディングから多彩な交流会、様々意味でのアートの場となっているところが、全国に現れています。今後は、それぞれのスタイルでそれぞれの美学で、いろんな場所があればいいなあ、楽しいなあ、と思っています。みんな楽しくやりましょうね。